ライブ活動に慣れてくると、自分のギターの出音(スピーカーから出てお客さんに聞こえる音)を気にする余裕が生まれてきます。
ライブハウス等の出音の調整は音響スタッフがやってくれるのですが、自分の音は自分で作り込みたいもの。そこで活躍するのがアコースティックギター用の”プリアンプ”です。ライブでのリハーサルなどで、お客さんに聞こえる音に「もう少し低音がほしい」「若干高音を削りたい」といった微調整に威力を発揮する機器です。
自分の出す音に無関心の弾き語リストも多いですが、自分の中の「いい音の基準」は持っているべきですね。音を微調整するためのプリアンプのおすすめ品を紹介します。
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まずはプリアンプの役割・機能をおさらい
まずは「プリアンプとはなんなのか」についてお話しします。そんなの知ってるぜ!って方は読み飛ばしてください。
ただ「先輩が使ってるから」とか「なんだかわからないけど合った方がいいでしょ?」程度の認識なら、繋がない方が良い音になることは往々にしてあります。ライブハウスのエンジニアの中にも、「プリアンプやエフェクターは毒だ」という方もいますので、必ずしも必要になる物ではないことを覚えておきましょう。
プリアンプとは、電気信号を扱う機器の前段(ないし入力段)に置かれるアンプのこと。前置増幅器(ぜんちぞうふくき)、ヘッドアンプとも呼ばれる。
引用:ウィキペディア
アコギなら、ギターから出てきた音の信号をPAやアンプに繋ぐ前段の音の調整役ですね。
アコギ用プリアンプの機能としては
- 音の色付け
- 音のバランス
- 音の増幅
簡単にはこれらの機能を持ちます。音の増幅に関しては、アコギの音をスピーカーで鳴らせるような大音量に増幅する機能は無く、あくまでもアコギから出た音を直近で増幅し、できるだけノイズの少ない状態でPAやアンプに送る役割を果たします。
アコギ用プリアンプの各種パラメータ
アコギ用プリアンプには通常、上記写真のようにLOW、MID、TREBLEといったようなギターの音域を調整するツマミがあります。これらをパラメータといいます。この調整用ツマミの数が多いほど細かな調整が出来て良いように感じますが、調整項目が多いほど迷うのが人間です。自分の中に、「これだ!」という基準の音が存在しないと、いつまでも音が決められません。プリアンプ選びはなかなか奥が深いのです。
また、アコギ用プリアンプには「エフェクター機能」が付加されたものもあります。たとえば、リバーブやコーラスなど簡単なエフェクターが内蔵されたタイプです。俗にマルチエフェクターと呼ばれるタイプですね。アコギ本来の音に個性を出したければ、マルチエフェクターの導入を考えても面白かもしれません。アコギ用マルチエフェクターには、プリアンプ機能が内蔵されています。
アコギ用のマルチエフェクターはこちらの記事で紹介しています。
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アコギ用おすすめプリアンプ
プリアンプは機能も金額もピンキリで、高価なものはウン十万します。
弾き語リストには、ギターの出音も大切ですが、一番重要なことは「歌を伝えること」。歌を伝えるために、ウン十万のギター用プリアンプが必要であれば買ってください。しかし、下記に紹介するような3~5万円までのプリアンプでも十分あなたの期待に応えてくれるはずです。
高価な機材は機能も効果もそれ相応ですが、あなたの音楽スタイルに必要なものをチョイスできると良いですね^^安物のプリアンプは使われている電子部品の品質が悪くノイズが乗ったり効果が薄いものがあります。ある程度音質に定評がある機種を選びましょう。
最新価格&製品詳細は下記リンクからご確認ください。
おすすめのアコギプリアンプ:FISHMAN AURA
FISHMAN ( フィッシュマン ) / AURA SPECTRUM DI
公式ページでサンプル動画が見られます。
FISHMANはアコースティックギターのピックアップの専門メーカーです。最近はアコギ用アンプにプリアンプにと、ギター周りの機材にも力を入れています。このAURAシリーズは発売されてかれこれ10年くらいになるでしょうか。当時から評判が良かったのですが、僕の周りには使っているギタリストがほとんどいませんでした。というのも、音を積極的に”変えていく”タイプのプリアンプだからでしょう。
具体的には「ドレッドノート型のギターの音」、「コンサート型のギターの音」といったように、基準となる音のセッティングがプリアンプの中に入っていて、そこから微調整していくタイプです。ギタリストは”こだわりの塊”ですから、人に決められた音を嫌います。これが、なかなかベテランギタリストには受け入れられない原因かなと推測します。(※ドレッドノート、コンサートとはギターの大きさを指します)
しかし!そんな僕の評価を一変する日が来ました。知り合いのギタリストをライブ招致したときに、彼の使っていたギターには、このAURAのテクノロジーを踏襲したAURA PROというピックアップシステムが搭載されていました。このギターの音の良さにはびっくりです。その生々しく瑞々しい音像には拍手喝采でした。
FISHMANはピックアップの分野でもLRBaggsに少し遅れを取っている印象でしたが、知らない間にこんなすばらしい機器を投入していたとは。。。日進月歩の技術革新と企業努力には頭が下がります。
エフェクターをループ接続できる端子を持っていますので、お気に入りのリバーブ等を繋ぐことができます。ニクい仕様ですね^^
デザインは少し無機質な感じがしますが、堅牢なボディは足元での操作には心強いでしょう。もっと注目されてもよいポテンシャルを持っています。僕のイチオシプリアンプです!
おすすめのアコギプリアンプ:LR.BAGGS SESSION DI
L.R.BAGGS ( エルアールバックス ) / SESSION DI
公式ページでサンプル動画が見られます。
LRBaggsのアコギ用プリアンプといえば、PARA Acoustic DIという製品がロングセラーでした(今も現役製品です)。”プロも使っている”みたいな文句に釣られて、僕もしばらく持っていました。自分でカフェライブをするようになり、アンプだけで音を作るようになったので手放しましたが、まぁ普通のプリアンプです(笑)ただし!ノッチフィルターという機能があり、これはハウリングを起こしやすい状況ではとても重宝しました。
SESSIONN DIにも当然ノッチフィルターが搭載されており、ハウリングを気にするギタリストには強い味方になるでしょうね。まぁデザインがいつもの感じで独特ですが、使い続ければ愛着も沸くでしょう。よく見ると、フットスイッチの部分が斜めになっており、ギタリストが踏みやすい角度になっているんですね。よく考えられています。
SESSION DIのお父さん的な「Venue DI」という上位機種もあります。そちらは操作できるパラメータも多く、細かい設定ができるようですが、ボタンが沢山ある機械って使いこなせない人が多いです(僕もそうです)。SESSION DIくらいのボタン数で十分でしょう。
ファンタム電源でも駆動できるところもうれしい仕様ですね。最近は小型アンプからもファンタム電電を送れる機種が増えましたし。
色んな所で”プロご用達”みたいに書かれている割に、プロが使っているのを見たことが無いのが、LRBaggsプリアンプの七不思議のひとつでしょうか。僕がたまたま見かけないだけかな。。。
おすすめのアコギプリアンプ:ZOOM AC-2
ZOOM ( ズーム ) / AC-2 Acoustic Creator
ZOOMの製品を「初心者用だ」とバカにする人が居ますが、ZOOMは日本が誇る音響機器メーカーです。たしかに20年くらい前のZOOMのエフェクターはヒドい音でした(笑)しかし、今はZOOMをバカにする人はいませんね。すばらしい音質と新しいことにどん欲に挑戦するメーカー気質です。
紹介のAC-2はPCから充電しながら使用出来たり、ヘッドフォンが接続出来たりと、使い勝手は他を圧倒します(チューナーまで内蔵です)。音に関しては、基準となるギターのモデルが数種類入っていて、モデル選定後に、各ノブで音質を微調整します。実際の調整の様子や音がリンク先の動画で確認できます。
ZOOMは新しい技術を新製品に意欲的に取り込み、ユーザービリティの向上に余念がありません。もちろん音にも妥協することはありません。ZOOMの音楽用ビデオカメラやハンディレコーダーなどを試せば結果は一目瞭然です。
いつも残念に思うのはデザインですね^^;こればかりは好みの問題ですので当然カッコいい!と思う人もいますし、僕のようになんだか残念だなという人も居ると思います。
僕が最初に買ったエフェクターはZOOMのマルチでした。以来20数年のZOOMファンです^^
プリアンプだけ導入してもアコギの音は良くならない
プリアンプだけ良いものを使っても、ギターの出音はそれほど良くなりません。足元で音質調整できる・・・程度の機材になってしまいます。やはり良質なピックアップとノイズの少ないケーブルを合わせて使ってこそのプリアンプです。ギターのスピーカーからの出音をできるだけ生音に近づけたい場合は、ピックアップの選定にも気を使いたいですね。
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さいごに
プリアンプを、「なんだかカッコ良さそう」「もってるとプロっぽい」などという曖昧な理由で買うなかれ!です(笑
たしかにプリアンプは音を細かく作れますし、会場ごとに「ちょっと音を変えたい」といった使い方においては抜群の操作性を誇ります。ギタリストなら一つは持っていたい機材ではあります。
プリアンプを購入するかどうかは「現状のアンプからの出音に不満があり、もう少し音質を細かくコントロールしたい」と思っているのなら購入するべきです。ギターとアンプの間には出来るだけ機材を挟まない方がピュアな音が出る、というのがアコギ界の常識ですので、そこはお忘れなく!