アコギの音は、弦の種類によって随分印象が変わるのをしっていますか?同じゲージ(太さ)の弦でも、メーカーによって「硬い・柔らかい」といった特性もあります。
毎回、「安いから」という理由で適当な弦を選んでいるなら、少し弦の種類にもこだわってみましょう。弦の種類による音の違いを紹介します。
この記事で紹介する内容は以下の通りです。
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弦によって変わるアコギの音・どんな種類があるの?
ひとくちに、弦を変えると音や弾きやすさが変わると言っても、どんな風に変わるか想像がつきませんよね。弦をどう変えると音に影響してくるのかおさらいしてみましょう。
- 弦を新品に変える
- 弦のゲージ(太さ)を変える
- 弦のメーカーを変える
- 弦の種類(成分)を変える
- 弦の張り方を変える
等々。思いつくだけでもこんなに音色に影響することがありました。それぞれ音の変化の大小はありますが、弾きやすさに影響する項目もありますので、詳しく解説します。
弦を新品に変える
弦を新品に変えたときはハッキリと音色の違いを感じられますね。弦を新品交換したときは、音が変わるというよりは「音が蘇る」イメージでしょうか。弦が錆びて劣化してくると、音の伸びも悪く、チューニングが安定しません。ある程度弾いたなと思ったら、弦が切れる前に交換したいですね。
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僕は新しい弦の音が好きで、一般的なギタリストより弦の交換頻度が高いかもしれません。わりとよく弦交換するのでお気に入りの弦を30セット程まとめ買いしています。30セット!?と思われるかもしれませんが、意外と1年で使い切ります。弦交換は初心者には難易度の高い作業で嫌いな人も多いようですが、年に30回も交換すればさすがに慣れますよ(笑)
弦のゲージ(太さ)を変える
弦の太さに種類があることは知っていますよね。アコギで使われる弦のゲージは細い順に
- (細)エクストラライトゲージ
- (細)カスタムライトゲージ
- (標準)ライトゲージ
- (太)ミディアムゲージ
- (極太)ヘビーゲージ
といった種類があります(メーカーにより無いゲージもあります)。よく使われる標準品はライトゲージです僕も基本的にはライトゲージを張っています。ゲージ(太さ)変えると、音の伸びや音量に影響が出ます。原因はギターに張った弦の張力による違いです。
例えば指が痛いからと、これまで張っていたライトゲージをさらに細いエクストラライトゲージに変えたとします。ゲージを補足するとギターの音量が下がるのと音の伸びが少なくなります。といっても人によっては分からないレベルですが。僕が弦を細くしたときに感じるのは「あ~音が細いな」という感触です。
弦のメーカーを変える
アコギ弦のメーカーは数十社ありますが、メーカーにより製法や基準が違います。同じゲージ(太さ)のセットを買っても、音や弾きやすさ・弦の持ちが変わるのはこのためです。同じメーカーの弦でも、弦の素材となる金属の生産地や製造工場が違うだけでも、出来上がった弦の音は違うでしょうね。耳で聞き分けられるかは別ですが。
アコギ弦として人気のMartin(マーチン)とD'Addario(ダダリオ)。 同じゲージの弦でも、D'Addario の方が硬い印象を持っています。エレキギターではD'Addario 弦をメインにしていますが、アコギにはMartinの音・手触りが好きです。好みの世界ですね。「このメーカーが絶対いい!」というものはありませんので、自分の直感を信じて選んでみましょう。
弦の種類・成分を変える
アコギ弦の種類には大きく分けて2つの見方があります。
- 弦の材質の違い
- 弦の素材の成分の違い
ちょっとよくわからない違いですよね。
弦の材質の違いとは
金属なのかナイロンなのかという違いです。アコギには鉄弦を張るフォークギタータイプと、ナイロン弦を張るガットギタータイプがあります。中にはフォークタイプのギターにナイロン弦を張る猛者もいます。ナイロン弦は指当たりが優しく、音も優しい音ですね。鉄弦→ナイロン弦という劇的な音の変化を楽しむことができます。
フォークタイプのアコギにナイロン弦を張る場合は、下記のような仕様になっている弦を使います。
ボールエンドとは、下記写真のように、弦の終端がボールのようになっているタイプですね。これが付いているナイロン弦を使うことで、フォークタイプのアコギにナイロン弦を張ることができます。
ただし、ナイロン弦を張るガットギター(クラシックギター)は、通常フォークタイプのギターより弦が短いため、お持ちのギターによってはナイロン弦の長さが足りず、張れないことも考えられます。試してみたい場合は、メーカーサイトで弦の全長等を良く調べた方が良いでしょう。
こんな弦もあります
弦の素材の成分の違いとは
通常、フォークタイプのギターの弦は「ブロンズ弦」という金属弦です。主成分は銅とスズで、一般的には銅8:スズ2の割合で作られています。音色的には落ち着いた、主張しない音と言われます。ダークな音色と表現する人も居ますね。僕もいろんな弦を試して、今はこのブロンズ弦に落ち着いています。
ブロンズ弦の種類には銅にリンを少量足した「フォスファーブロンズ」という種類があります。こちらは、高音が強調された煌びやかな音色が特徴です。この音を好んで使うギタリストも多いですね。ブロンズ弦をフォスファーブロンズ弦に変えるだけで、かなり音の印象が変わります。今のギターの音色をもう少し明るくして見たいな、と思ったらぜひ試してみてください。
また、弦の種類の違いとして、弦を錆びにくくコーティングした「コーティング弦」という種類もあります。いわゆる超寿命と言われる弦です。コーティング弦は触り心地も音の印象も変わります。有名なコーティング弦は「エリクサー」ですが、各社から様々なコーティング弦が発売されています。色んなコーティング弦を試した中での僕のおすすめは下記で特集しています。
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弦の張り方を変える
弦の張り方で音が変わるというのは、想像しにくいかもしれません。30年ほどギターを弾いてきた僕にも、張り方の違いを聞き分けろと言われても正直自信がありません。それほど繊細な違いですが、弦の張り方で音が変わる説は根強いです。
張り方と言っても大きく2つのポイントです。
ボールエンドの向き
「ボールエンドの穴の向きを上向きでセットするか、横向きでセットするかで音が変わる」説があります。説というのは、僕自信がこの違いを実感できないからです。聞き分ける達人もいらっしゃるようなので、変わるんでしょう・・・。ボールエンドの向きによって弦が切れにくくなるというのはまぁわからなくもないですが。。。
弦の巻き数
あまり気にする人はいないかもしれませんが、弦を巻くペグの部分に何回巻くかで音が変わってきます。巻き過ぎは良く無く、音が詰まる印象です。弦交換の際に毎回同じ巻き数になるように、自分なりの弦交換のルール化をしておくと良いですね。
あなたの音楽スタイルに合った弦の選び方
さて、難しいのはここからです。あなたの音楽スタイルによって弦の種類を変えられるのが理想ですが、そう思い通りの弦には出会えません。自分がいいと思っている音と聞いた人がいい音(音楽に合っている)と思うかは別だからです。
最終的には自分が気に入るのが一番ですが、ギターの音をあなたの音楽スタイルに合わせるという方法もあります。一般的にはどういった基準で弦が選ばれているのでしょう。一例を紹介します。
◆ブルース・ジャズ系
ミディアム以上の太いゲージのブロンズ弦を張るギタリストが多く、音量や音のコシ、音の伸びなどから太目の弦が選ばれている。弦が太い=音も太いイメージですね。
◆ポップス~バラード系
エクストラライト~ライトゲージの太さで、ブロンズや弦やフォスファーブロンズが人気。個人的にはヨーロッパ産のギターは煌びやかな音色のギターが多い印象です。こういったギターにフォスファーブロンズを合わせると、キラキラしすぎて”くどい”イメージ。高音のキンキンボイスの方の弾き語りには、落ち着いた音色のブロンズ弦を合わせたいところ。
あえて、高音ボイス×キラキラ弦の組み合わせもありだと思うので、その辺は自分のサウンドキャラクターをどう確立するかを見極めていくのが良いでしょう。
◆ポップス~ロック系
ストローク主体の弾き語りの場合、ブロンズ弦の方が合う印象です。フォスファーブロンズが合わないわけではありませんが、フォスファーは指弾きのアルペジオ等で一番威力を発揮します。この辺の一般的なイメージを自分の演奏スタイルに当てはめるかどうかは、いろんな種類のギター弦を試してみてからですね。
ゲージ(太さ)に関して
弦の太さに関しては、弾きやすさを優先した方が良いというのが僕の考えです。一般的な考え方や、音のハリや音の伸びを気にして弾きにくいゲージを選ぶより、弾きやすさを選んだ方がギターを弾き続けることにつながるからです。
ブルースはミディアムゲージだぜ!と慣れない太さのゲージでギターを始めて指が痛くて挫折するよりは、エクストラライトを張って、弾きやすさを求めた方がギターは楽しいはず。指の力がついて、少しの力でもいい音が出るようになったら、ゲージを上げてみればいいのですからね^^
また、ギターによっても太い弦を張っても指がそれほど痛くないものもあります。理由を下記で説明します。ちょっと脱線しますが、ギターに関する知識として持っておいた方が良いです。
ギターのブリッジからナットまでの距離をスケール(弦長)と呼びます。支点から支点までの距離で、音階のスケールとはまた別の話です。このスケールはギターによって違います。バラバラという意味ではありません。
- ロングスケール(645mm)
- ミディアムスケール(628mm)
- ショートスケール(600mm)
基本的には3つの基準に分かれていますが、メーカーによって数字は曖昧な部分があります。世の中には上記のどれにも属さないスケールのギターもありますが、一般的にはロングスケールのアコギが多いのかなと思います。Martin系のギターはロングスケールが基本ですし、Gibsonならミディムスケールが一般的です。*Gibsonの628mmのスケールをショートスケールと表示しているサイトもあります。
このスケールが短いほど弦のテンションが低く、弦を押さえやすい傾向があります。
安いアコギ弦は良くないの?
安い弦の魅力は、なんといっても気兼ねなくホイホイと交換できるところですよね!僕もARIAのフォスファーブロンズ弦で3セット500円くらいのセットを、音が悪くなるたびに交換、ということを繰り返していました。頻繁に弦をかえたいギタリストには重宝しますよね。
ただ、安い弦=品質を落とすことでコストダウンしているケースが多いもの。当然デメリットがあります。安い弦はチューニングが不安定であったり、張った途端に切れたり、新品の状態でクセがついていたりします。それらのデメリットを含めての安い弦なのです。
普段の練習は安い弦、本気のライブやレコーディングは本格的な弦、と使い分けている人も居ます。僕も昔はそういったことをしていましたが、やはり練習時から本番環境に慣れておきたいと思い、使う弦をMartinのブロンズ弦に1本化しました。メーカーによって手触りや音の感触、弦の持ちが変わりますかね。
僕が10年くらい使い続けている弦がMartinのM140です。この弦、ライブ中に切れたことが無いんですよね。たまたまかもしれませんが、エリクサーは切れやすかったし、フォスファーブロンズ弦も切れやすい印象があります。Martinのブロンズ弦は、音色も落ち着いていて本当に好みです。一度お試しあれ!
一概に「安い弦だから良くない、使わない方がいいよ」とは言えません。弦も1セット500円~という値段を考えると、頻繁に変えるのも財布に負担がかかりますよね。品質的にはおすすめはしないけど、安い弦にも使いどころはあるよ・・・といったところでしょうか。
さいごに
自分の使うギター弦に無頓着のギタリストは伸びません。あなたが使っている機材にこだわりが無いのは、ギターに愛着が無いのと一緒です。
色んな種類の弦に挑戦するのは、もちろんギターに慣れてからで大丈夫です。ゲージ(太さ)に関しては、最初は一番細いゲージ(エクストラライト)をおすすめします。ギタリストの中にはなぜか”太い弦を張っているヤツが偉い”みたいなことを言う人が居ますが、こんな素人丸出しの発言をしている人はほっといてください(笑自分の演奏スタイルや実力に合った弦を選べるギタリストの方が、よっぽどギターを良く知っているはずですからね^^