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■私と音楽

30年もギターを弾いてるのに僕がプロミュージシャンになれなかった理由

僕の音楽人生は、小学5年生(10歳)の時に親からギターを買ってもらったことからスタートしました。

クラシックギタリスト(あくまでも趣味の)の父、趣味でピアノを弾く母・姉・弟、とよく言う”音楽一家”という環境で育ってきました。

田舎育ちなもので、音楽以外はゲームか野原を駆け回るくらいしか遊びが無い環境でした。おかげでギター以外のことに浮気することもなく、ただコツコツと音楽を続けてきました。

将来の夢はプロミュージシャン。ギターの専門学校も出て東京のレーベルからCDデビューを経て、東京での音楽活動も数年経験しました。

そして今、何をしているか。

プロミュージシャンではありません。休日に音楽活動をする、いわゆる「日曜音楽家」です。

望んでいたプロミュージシャンになれなかった僕の音楽人生に何があったのかお話しします。悲しいストーリーではないので、音楽活動の参考に読んでみてください。

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プロミュージシャンになれなかった理由

プロミュージシャンになれなかった理由は「プロになる方法がわからなかった」という単純な話ではありません。確実にプロになる方法なんて、そもそも誰にも分りません。確実な方法がないからこそ、気高い職業なんですね。

僕がプロになれなかった理由は、精神的な部分にあります。しかも理由は一つではありません。なれなかった・・・というと不適合者のような烙印を押されてた気分になりますが、嫌な気持ちをそっと仕舞って、今は冷静に分析してみましょう。

音楽は楽しいばかりじゃない むしろ楽しくないことの方が多かった

音楽を仕事にしようとすると、音楽以外のやりたくないことにも取り組まなければなりません。

これは、実際に挑戦してみてわかったことですが、「誰かの下」で音楽をやるということはかなりストレスです。

たとえば、

  • 自分の意図しない曲を書かなければならない
  • コンスタントに曲を書かなければならない
  • プロデューサーのご機嫌取り

などなど。保証のない生活でお金の不安も常にありました。これは、好きで音楽をやっていた素人時代には想像できないストレスでした。

このようなストレスをも楽しんだり、プロへの登竜門として乗り越えて行けるものだけが、プロとしてやっていけるのだなと強く思ったものです。

音楽を好きでいるには、プロにならない方が良いのでは

東京での音楽活動で、次第に僕は「音楽を好きでいるには、プロにならない方が良いのでは」という思いを持つようになりました。

これは、僕が音楽をやる理由が「好きな事をして、自分が幸せになれればそれでいい」という利己的なものだったからだと分析します。音楽のプロって、ファンやお客さんを喜ばせたいという大前提の意志があって活動しています。当時の僕にはこの観点が完全にありませんでした。

普通に働くことから逃れるために音楽に逃げ道を求めていたんですね。

好きな事をして生きていくには、誰かを幸せにし、応援してもらうしかありません。自分の音楽でお客さん・ファンを幸せにしたい!という発想が欠けていたように思います。

音楽に人生ささげる覚悟がない

2つめの理由は「音楽に人生をささげる覚悟がなかった」というものです。音楽の為に死ぬ覚悟とか、プロになれなきゃ死んでもいいとかそういう類のものではありません。

音楽で世に出てくるような人たちは、圧倒的に努力しています。そして覚悟が違います。好きなことを好きなようにやることは出来ても、「好きな事に関わる全てのことを飲み込む覚悟」が僕にはありませんでした。

前項で上げたように、ストレスを音楽を作る力に変えるエネルギーがなかったですね。

どんなに好きな事でも良い面と苦手な面は存在します。その両方を愛せてこそ、「プロ」という一握りの人間になれるのだと、今なら理解できます。

プロになるための戦略がない

3つ目は、プロになることに対して完全に他人任せでした。

ようするに「レコード会社に拾ってもらう」、「オーディションに受かる」、「プロデューサーに認めてもらう」という安直な思考。

オーディションなどでプロになる人は今でもいます。しかし、誰かの下で音楽をやるということは、耐えるものが多いということです。他人(レコード会社やスポンサー)の意向に沿った形で活動をしていくことになります。

そんなことに耐えられない僕のような人間が、誰かに拾ってもらおうという発想自体が間違いでした。こんなもの戦略とは呼べず、誰かさんの成功パターンをただなぞっただけでした。意思なき戦いが成功するわけがない。

プロになれなかった。今はどうしてるの?

東京から負け犬のように地元:長野に逃げ帰った僕でしたが、実はここからの音楽人生の方が輝いています。人生というのは不思議なもので、しがらみや固定観念をリセットできると前向きに転がりだすこともあるんですね。

  • 音楽やるなら東京
  • CD出すならレーベル
  • 活動するなら音楽事務所

これらはすべて思い込みでした。時代が変わったせいもありますが、CD制作も音楽活動も手作りでで来ます。しかもその方がコストが安い。どうせプロが作ってもCDが売れない時代。小ロットでコツコツ売るアマチュアの方が、戦略的に正しいのかもしれませんね。

こだわるべき場所に気付いた

地元に帰ってからもしばらく苦悩は続きました。音楽を捨てきれなかったからです。しかしあきらめずにコツコツ活動していると、見ている人はいるもの。

地元で10年くらい弾き語り活動をしている中で、ライブのオファーが入るようになりました。

このような成果が出た理由は「お客さんのことを考えたライブをするようになった」ことが大きいと考えています。

  • ライブで自分の曲ばかり歌わない
  • MCでも楽しませる
  • いつでも最善のライブをするよう心掛ける

どれも当たり前のことですが、当たり前のことをするって難しいものですね。10年以上活動してやっと身に付いたファン獲得の知恵でした。自分のやりたいことばかり追求せず、お客さんを喜ばせるにはどうしたらよいかを考え出して、人生が変わった気がします。

過去の僕は、こだわりのポイントを間違えていたんですね。

【弾き語り】ライブでファンを増やすコツ:僕が長年実践している事

地方で音楽活動することの大きなメリット【田舎はブルーオーシャンだ】

ライブMC、何を話したらいいの?話に困らないテクニック

今の音楽活動の延長に何があるのか

今、日本の人口は年に100万人という驚異的なスピードで減り続けています。100万人という数字はちょっと想像できませんが、100万都市の仙台市規模の都市が毎年1個無くなっていくイメージです。

恐ろしい事です。このような時代に置いて、全国を歌いまわって新しいファンの増やそうという試みはちょっと厳しくなるんじゃないかなと予想しています。そのような活動をしているアーティストをこき下ろすわけではありません。それが戦略だと思えばやればいい。

ただ、これからは固定ファン・地元ファンをもっと大切にし、地に足の着いた活動してこそ、喜ばれる音楽活動ができると思っています。

人が減っている以上、自分の音楽を好きになってくれる可能性のある人が減っているということ。ここにバクチのように全国を回って、ただ疲弊するような活動は、僕にはできませんし、自信もありません。

地元に目を向け、要請があれば全国どこへでも歌いに行く。そのようなスタンスが僕には合っているようです。

それでは音楽だけで食べて行くことはこれからもできそうにありません。しかし音楽でストレスを抱えることが一切ありません。好きな事でストレス抱えたくないですからね。今一番よい状態かもしれません。

個人が情報発信できる時代はミュージシャンにとってチャンス

また、今は何と言っても発信の時代です。

このBlogもそうですが、これまで培ってきた技術・知識・経験はすべて武器になります。誰かに頼らなければ自分の音楽が売れなかった時代から、自分から自分の音楽を好きそうな層に直接リーチすることがしやすくなりました。

画期的な技術革新ですね。これをチャンスだと見れないミュージシャンはまったくの勉強不足。チャンスを棒に振っています。

SNS、動画、Blogなんでも良いので情報発信を始めて、もっと楽に音楽やっていきたいですね。

さいごに

僕の人生の失敗談ではありますが、音楽を止めたわけではありませんのでミュージシャンとしての失敗談ではありません。

まぁ声を大にして言う話でもありませんが、これからプロを目指される方の反面教師にはなれるかもしれません。

僕が出せる情報は、音楽・ギターに関する技術、知識といったことよりも、失敗談や活動のヒントなど、泥臭い部分かと思っています。あなたの音楽活動の参考にしていただければ幸いです。