歌やアコースティックギター等の生楽器は、コンデンサーマイクでレコーディングするのが主流です。
昔は高かったコンデンサーマイクも、今では数千円台で手に入るようになりました。ネット配信の弾き語り放送などにも気軽に使えるようになりましたね。
カラオケ等で使うダイナミックマイクとの違いは「音の良さ」と認識しているかもしれませんが、なぜ音が良くて、歌やアコギ録りに向いているのか、おさらいしておきましょう!
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コンデンサーマイクが歌・アコギ録音に向いている理由
コンデンサーマイクが歌やアコギなどの生楽器の録音に向いている大きな理由は3つあります。
- マイクの指向性
- 周波数特性
- ダイナミックレンジ
この3つの特性が歌やアコギなどの生楽器に適しているんですね。
「なんだかわからないけど音がいいっていうし、使ってる~」っていうあなたも、この3つの特性はコンデンサーマイクが選ばれるポイントですので、覚えておきましょう!
マイクの指向性
指向性とはその名の通り、音を拾う範囲のことです。マイクを買うと、下記のような指向性の図が一緒に付いてきます。見たことありませんか?
この図は、0度の角度(マイクの正面)で録音した場合、どの角度まで音を拾いますよ、というものです。マイクの真後ろの音はほとんど拾わない作りなんですね。こういった、指向性を絞ったマイクを単一指向性マイク(カーディオイド)といいます。
指向性が絞られていると、歌やギター以外の狙った音以外を拾いにくくするので、レコーディングには良く使われるんですね。なるべく雑音や余計な音は入れたくないですからね。実際には部屋の反響により、マイクの後ろの音も拾ってしまうことが多いです。その対策として遮音材・吸音材等で部屋の防音性を高めるわけです。
カラオケマイクなどの”ダイナミックマイク”は、コンデンサマイクと違い、指向性の無い「無指向性マイク」だったりします。指向性があると、マイクの向きなどに注意して歌わないと音を拾いにくいですので、誰でも扱えるように無指向性なんですね。
コンデンサマイクの場合は、「とにかくマイクの正面で録音する」ことに注意しましょう。(自分で使っているマイクのどこが正面が知っておく必要があります)
周波数特性
周波数特性図も、図上記のようなグラフが取説に入っている場合が多いです。これは何を意味するかというと、「高い音と低い音をどの程度拾えるか」を表しています。ただ、このグラフを見ただけで「こんなに拾えるんだ~」と納得できる方は居ないでしょう(笑)
カラオケマイクや、ライブ等で使われるダイナミックマイクよりも、低音~高音まで拾える範囲がかなり広いということを覚えておけば良いでしょう。下記でダイナミックマイクとコンデンサーマイクの音源を乗せておきます。音の違いを実感ください。
ダイナミックレンジ
ダイナミックレンジは音に関わる部分です。音の強弱の比率を表しています。一番大きな音と一番小さな音をどの範囲で拾えるか=ダイナミックレンジです。ダイナミックマイクよりコンデンサーマイクの方がダイナミックレンジが広い傾向にあるんですね。
ダイナミックレンジが広いと、大きな音でも歪みにくく、アコギのような繊細な音を拾いやすくなります。
コンデンサーマイクとダイナミックマイクの音源比較
上図のセッティングにて、ダイナミックマイクとコンデンサーマイクを同時に別トラックに録音しました。どちらもマキシマイズ(音量を上げる)だけで音質のエディットはしていません。
まずはダイナミックマイクから。
使用マイク:SHURE ( シュアー ) / SM57
これはこれで良い音ですね。コンデンサーマイクと聞き比べないと、このマイクの音が薄っぺらいとか、低音が足りないとかは判断できません。昔、このマイク(SHURE SM57)しか持っていなくて、ボーカルもギターもすべてSM57で録音したミニアルバムを作りました。素人っぽい音にはなりましたが、なかなか個性的なサウンドだったと思います。
SM57は特に楽器収録に能力を発揮するダイナミックマイクですが、この音が好みでライブのボーカルにつかうアーティストもいますね。スガシカオさんなど。また、エレキギターのアンプの出音をSM57で拾うギタリストも非常に多いです。アンプ収録はSM57でなきゃ!ってギタリストも多いと聞きます。ロングセラーで優れたマイクなんですね。1万円以下で買える宅録派にも優しいマイクです。
使用マイク:RODE ( ロード ) / NT1-A
聞き比べると、明らかに音が違うのはわかります。全体的に音がふくよかになった印象ですね。
ただ、好みでダイナミックの方が好きだという方もいるでしょうね。しかし、低音から高音までバランスよく音が拾えていることと、ノイズの少なさは特筆すべき点です。マイク(メーカー)により、マイクの音質も様々です。できるだけ原音に忠実に音を拾うものもあれば、積極的に音を変えていくマイクもあります。どちらもマイクの個性ですね。
RODEのNT1-Aは宅録ミュージシャンから絶大な支持を得ているコンデンサーマイクです。ボーカルからアコギなどの生楽器まで収録できる広いレンジを持っています。コンデンサーマイク最初の1本として非常におすすめできます。ノイズの少なさも本当に素晴らしいです。
コンデンサーマイク取り扱いの注意
コンデンサーマイクは音質に関しては良い事ばかりですが、取り扱いに関してはシビアです。特にコンデンサーマイクの命ともいえる「振動板(この部分がコンデンサー)」が空気中の水分により錆びたりカビたりすると、マイクの音質が著しく落ちたりノイズが入ったりします。目に見えない部分だからこそ、扱いに注意したいですね。主な注意点を上げておきます。
湿度管理
上述の通り、コンデンサーマイクの生命線である振動板を錆び・カビから守るべく、湿度管理をして保管します。コンデンサーマイクの保管湿度は40%台が理想とされています。密封できる容器(タッパーなど)に湿度計とシリカゲル等の除湿剤を入れて保管しておくのが一般的です。
あまり乾燥しすぎてもマイク内部のゴム部分が緩んだりしてよくありませんので、湿度計を常にチェックするのが面倒な場合は、電気式の防湿庫が良いでしょう。設定温度を電気的にキープしてくれます。
AUTODRY ( オートドライ ) / ED-25CAM(W)
僕は上記のような電気式の防湿庫を使っています。カメラが趣味なので、レンズをカビさせないためにも防湿庫は便利ですね。音も静かですよ^^
ポップガード利用のすすめ
コンデンサーマイクの歌録り使用時には、下記のようなポップガードを使うのが一般的です。歌詞の破裂音(パピプのような)のような発音は一度口を閉じてから発音しますので、風がおき、この風をマイクが拾ってしまうんですね。そこで風を遮るのがポップガードの役目です。
ポップガードの本来の役目は破裂音の防風ですが、マイクに飛んでくる唾を防ぐ効果もあります。唾は水分ですので、極力マイクからは遠ざけたいですよね。
衝撃に弱い
コンデンサーマイクは内部に電気回路を持っていることもあり、非常に繊細な機器です。必要以上にビクビクして扱う必要はありませんが、数十万円もするモデルなどは、やはり緊張しますよね。僕は数十万円もするモデルは持っていませんが、宅録用とて数万円しますので、落下等には細心の注意が必要です。
大きな衝撃が加わると、最悪壊れてしまいます。落下等の衝撃で変形してしまっても悲しいですよね。この辺りの扱いは、ダイナミックマイクとは雲泥の差があります。ダイナミックマイクは多少ぶつけたり落としたりしてもへっちゃら機種が多いですからね。
要:電源
コンデンサーマイクは”ファンタム電源”と言われる電源が必要です。ただミキサーやオーディオインターフェースに繋いだだけでは音が出ないんですね。ファンタム電源は12~48Vが一般的です。なぜ電圧にバラツキがあるのかは不明ですが、12~48Vで正常動作するということなんですね。
マイクによっては48Vを使いなさいよ、と取説にあるものから、12~48Vの間で使えますよといったものまで様々です。高い電圧の方が音質が安定するとは聞いたことがありますが、僕はあまり電圧の差は感じませんね。そもそも直流の48Vって人間的にはけっこう高めですので、もし触れてしまうと結構な電撃が来ます。こわいこわい
ファンタム電源はコンデンサーマイクをケーブルに繋いでからONしましょう。この順序ので電源を入れないと壊れてしまうマイクもあるようです。オーディオ扱いの常識として知っておいた方がよさそうですね。
さいごに
コンデンサーマイクも本当に手ごろな価格で手に入るようになりました。数十万円するのが当たり前の時代から、いまでは数千円で手に入ります。
ネット配信などに使うコンデンサーマイクにそれほど高級機を使う必要は無いでしょう。数千円のモデルで十分かと思います。しかし、レコーディングとなると話は変わります。やはりノイズが問題になりますね。弾き語り等の音数の少ない音源を作ろうとすると、ノイズは気になります。
昔、MXLというメーカーの1万円以下のコンデンサーマイクを買ったことがあります。このマイク、音質はザラザラしていて割と好みだったんですが、もうちょっと良いマイクと比べると、やはりノイズが気になりました。レコーディングに使うならば、低ノイズを売りにしているモデルを選定した方が、後で困らないんですね。
あと、ノイズ対策としてはマイクケーブルも非常に重要です。いきなり数万円もするケーブルを買う必要はないと思いますが、ある程度品質に定評のあるケーブルを用意した方が良いでしょう。ケーブルからノイズが乗ることもけっこうあるんですよ^^
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